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蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱 ご紹介その4
開催中の企画展「加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念 蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱」より、展示室のようすをお届けします。
本館2階の喫茶室では、当館蔵の山本爲三郎コレクションより、河井寬次郎の作品を展示しています。
左から《海鼠釉皿》1930年頃、《海鼠釉線文瓶》1927年
こちらのケースに並んでいるのは、海鼠(なまこ)釉を用いた作品です。
海鼠釉とはその名のとおり、海に生息する海鼠の色味にちなんで名づけられたもので、うつわの表面には藍や淡緑色など、複雑に混じりあった色が現れます。
《海鼠釉皿》一面に見られる、藍色の濃淡が生み出す海鼠釉の絶妙な表情は、「釉薬の魔術師」とよばれた河井ならではのもので、いくら見ても見飽きることがありません。
また、丸皿を縁取る褐色が全体の印象を引き締めています。
喫茶室では現在、リーガロイヤルホテル協力のもと、企画展にちなんだ特製オリジナルスイーツを数量限定で提供しています。
展示の鑑賞後は、喫茶室の作品をじっくり味わいながら、あるいはテラスで新緑のさわやかな空気を感じながら、美味しいスイーツを召しあがってはいかがでしょうか。
スイーツの詳細はこちらのブログをご覧ください。
企画展「加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念 蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱」は、5月12日(日)まで開催中です。
皆さまのお越しを心よりお待ち申しあげます。
(TM)
蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱 ご紹介その3
現在、企画展「加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念 蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱」を開催中ですが、本日はこちらの展示室をご紹介します。
イギリスのキュー王立植物園で洋蘭の栽培を目にして感銘を受けた加賀は、山荘の裏手に温室を建て、蘭栽培を始めます。かつてその温室があった場所に位置する「夢の箱」(山手館)では、彼が蘭栽培の記録として制作した『蘭花譜』104点すべてを一堂に展示しています。
『蘭花譜』版木2点
美術書出版株式会社芸艸堂蔵
出版に携わった芸艸堂の倉庫からみつかった『蘭花譜』の版木も展示しています。また、展示室内のモニターでは刷りの過程がわかる動画をご覧いただけます。
何度も刷りを重ねて徐々に蘭の色合いが完成していく様子を見ていると、自分の育てた蘭を写真ではなく木版画で残そうと考えた加賀の熱意が伝わってきます。加賀の愛した蘭とこだわりのつまった『蘭花譜』の世界をご堪能ください。
企画展「加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念 蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱」は、5月12日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)
蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱 ご紹介その2
引き続き、現在開催中の企画展「加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念 蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱」のようすをお届けします。
今回ご紹介する展示室1では、加賀正太郎が成し遂げた事績に関連する品々をご覧いただけます。
大大阪(だいおおさか)時代と呼ばれる、大阪が世界有数の大都市として栄えた時代に実業家として活躍した加賀ですが、大山崎山荘(現・美術館本館)の建設や蘭花譜の発行など自身の趣味を極める一面もありました。
そのひとつが、22歳でヨーロッパを周遊した際に果たした日本人初のユングフラウ登頂です。
アルプス山脈の一山であるユングフラウは標高4158mと富士山をしのぐ高さですが、加賀は下の写真のような装備で登山に挑みました。
(すべて市立大町山岳博物館蔵)
ドイツのミュンヘンで購入したという分厚いウール製のコート、革製の登山靴は、そのまま街を歩くことができそうな見栄えです。
往時のユングフラウ登頂には、装備の軽量化と高機能化がめざましい現在とは比べ物にならない労力が必要だったことでしょう。
左から麻ザイル、ゲートル、柳行李
(すべて市立大町山岳博物館蔵)
他にも、加賀が実際に使用していた品々が展示されています。
足の脛の部分に巻き付けるゲートルという装備はバーバリー製のもので、何事においても本物志向であった加賀のこだわりが感じられます。
企画展「加賀正太郎没後70年・ニッカウヰスキー90周年記念 蘭花譜と大山崎山荘―大大阪時代を生きた男の情熱」は、5月12日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しを心よりお待ちしております。
(TM)