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「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」ご紹介 その3
2026年も2月に入りました。当館庭園でもスイセンの花が開きはじめ、春の気配が感じられます。 さて、企画展「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」ご紹介の第3回目は、竹久夢二(1884-1934)の作品が並ぶ展示室1(当展順路3)からお届けします。
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《野遊》『三越』第15巻10号挿画 1925(大正14)年10月1日 三越呉服店
多色刷りで彩られた竹久夢二の《野遊》は、女性と子供たちが余暇をすごす時間を描き、家族の新しい娯楽のありかたを提示しています。
明治末期から大正初期にかけて、大衆消費社会が芽生え、百貨店は顧客を呼ぶためのさまざまな趣向をこらしました。『三越』は百貨店のPR誌ながら、文芸色、学芸色を打ち出し、懸賞文芸作品の公募を行ったり、森鴎外や新渡戸稲造などの知識人、そして女性読者を意識して、与謝野晶子など女性作家の寄稿を掲載することもありました。夢二の描きだす時代を楽しむ女性の姿も、女性顧客を惹きつけたことでしょう。
この展示室には夢二の『三越』挿画が2枚展示されています。また、山本記念展示室(当展順路2)には、杉浦非水の手がけた『三越』表紙も展示中ですので、探してみてください。
企画展「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」は3月8日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
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「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」ご紹介 その2
企画展「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」は開幕から、はやくも一か月が経ちました。展覧会の順路に沿って、今回は展示室3(本展 順路2)よりお届けします。
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こちらの部屋では、富本憲吉(1886-1963)、岸田劉生(1891-1929)、古賀春江(1895-1933)、広川松五郎(1889-1952)、蕗谷虹児(ふきたに こうじ 1898-1979)、そして橘小夢(たちばな さゆめ 1892-1970)の、作家6名の個性が光る作品をご覧いただけます。
陶芸家として知られる富本憲吉は、もともとは東京美術学校(現在の東京藝術大学)の図案科を卒業し、図案事務所を開いていました。のちに、バーナード・リーチ(1887-1979)との出会いをきっかけに陶芸の創作に打ちこむようになりますが、次のような雑誌の表紙には、富本の図案家としての仕事を見ることができます。
『番紅花』第1巻第6号 1914(大正3)年 8月1日 東雲堂書店
「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」展の会期中、リーチと富本の陶芸作品が当館喫茶室内にならんで展示されております。そちらへもぜひお立ち寄りください。
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「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」ご紹介 その1
開催中の企画展「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」では、たくさんのグラフィックデザインやイラストレーションの作品をご覧いただけます。順路に沿って、今回は山本記念展示室から、かの有名な猫の姿をご紹介します。
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橋口五葉『吾輩ハ猫デアル』下編 挿画
1907(明治40)年5月19日[初版]/1907(明治40)年9月20日[第3版]大倉書店/服部書店
『吾輩ハ猫デアル』は、夏目漱石(1867-1916)の初めての小説です。1903年英国留学帰国後すぐ、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、 1850-1904)の後任として東京帝国大学に赴任した漱石でしたが、八雲の人気が高すぎ、かねてよりわずらっていた神経衰弱に悩まされたといいます。高浜虚子(1874-1959)のすすめで創作活動をはじめ『ホトトギス』誌上に発表した『吾輩ハ猫デアル』は大ヒット。橋口五葉のしゃれた意匠は本の売り上げに貢献したに違いありません。
実は後年、漱石夫妻は招かれて建設中の大山崎山荘(当館本館)を訪れています。そのようなつながりを思いながら、本展会場にて名前のない猫を探してみていただけたらと思います。
企画展「くらしに花咲くデザイン ―大正イマジュリィの世界」は3月8日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
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