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没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより ご紹介その4
本日は、現在開催中の企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の展示室のようすをご紹介します。
山本記念室では黒田作品の技法について解説していますが、本日は「拭漆」についてご紹介します。
拭漆とは、木製品の仕上げとして半透明の透漆を表面に塗る技法です。素地に生漆を塗ったあと拭きとり、乾かしてから研ぐことで木地固めをくり返します。その上に生漆と砥の粉を練り合わせた錆を塗って拭きとり、さらに漆を塗って拭きとる作業を何度か行い、仕上げ塗りを行います。 拭漆振出し(1928-34年頃)
振出しとは茶道具の一種で、金平糖などの小粒のお菓子を入れる菓子器のことです。中に入ったお菓子を振出して用いることから、その名前がついたと言われています。
アサヒビール初代社長・山本爲三郎が所有していた振出しには、薬味入れとして使用されたものがあったそうです。この作品も口の部分が狭くなっていますので、食卓で使われていたのかもしれませんね。
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」は、5月7日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)
没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより ご紹介その3
本日は、現在開催中の企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の展示室のようすをご紹介します。
山本記念室では、「拭漆」「朱漆」「螺鈿」「乾漆」「溜漆(溜塗)」それぞれの技法を解説し、黒田が手がけた作品をご覧いただけます。
中でもひときわ目を引くのが、「螺鈿」ではないでしょうか。
螺鈿とは、貝殻の真珠質の部分を研いで厚みや形を調整し、木地や乾漆の表面にはめ込んだり貼りつけたりする技法です。貝殻は、アワビ貝や白蝶貝、夜光貝などが使用されますが、中でも黒田はメキシコアワビ貝に魅了され、メキシコアワビ貝を施した作品を30代の頃から数多く制作しています。 耀貝白蝶貝螺鈿流卍文飾箱(1970年) 佐川美術館蔵
「耀貝」とは、木版画家の棟方志功が黒田のメキシコアワビ貝の加飾を称賛してつけた名前です。この作品は丸みを帯びた箱全体にメキシコアワビ貝と白蝶貝が施され、まばゆく光り輝いています。
螺鈿に使用されるメキシコアワビ貝と白蝶貝の貝殻も参考として展示していますので、あわせてお楽しみください。
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」は、5月7日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)
没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより ご紹介その2
本日は、現在開催中の企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の展示室のようすをご紹介します。
1928年の御大礼記念国産振興東京博覧会の閉幕後、解体された民藝館は、民藝運動の支援者であるアサヒビール初代社長・山本爲三郎の自宅があった大阪の三国へ移築再建され、「三國荘」と名づけられました。黒田は、民藝館や三國荘のためにさまざまな灯火器を制作しています。 拭漆透彫卍文八角灯火器(1928年)
この作品はもともと、民藝館の応接室の中央に吊るされていました。卍文は、朝鮮王朝時代の工芸において好んで用いられた吉祥文で、黒田の初期の作品によくみられます。
昨年、目白漆芸文化財研究所で修理していただき、約100年前の意匠はそのままに生まれ変わりました。当館で展示するのは今回が初めてですので、ぜひご覧ください。
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」は、5月7日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)