受贈記念:没後10年 舩木倭帆展 ご紹介その3
本日は、現在開催中の「受贈記念:没後10年 舩木倭帆展」の展示室のようすをご紹介します。建築家・安藤忠雄による「夢の箱」(山手館)には、グイ呑やワイングラスなど、お酒を楽しむための器を展示しています。《エアーツイストワイングラス》 1977-87年
このワイングラスは脚の部分が特徴的で、制作には高度な技術を要します。熱したガラスに空気を閉じ込めてねじることで、らせんが作り出されています。
18世紀のイギリスでは、ガラスに含まれる酸化鉛の重量によって税が課せられてガラスの軽量化が課題になり、グラスの脚部に空気が封入されるようになりました。それが本作にみられるような装飾に発展したといわれています。
外側には凹凸はなくシンプルな形ですが、あしらわれた空気の装飾がとても綺麗で、難しい技法に挑んだ舩木倭帆の熱意が感じられる貴重な作品です。《垂描文大皿》 1988-2012年
「垂描文(すいびょうもん)」とは、舩木倭帆の造語です。竿の先に巻き取ったガラス種が重力で垂れて落ちるのを、素早くガラス玉の表面に張りつけて描く文様のことです。限られた時間のなかでやり直しがきかない「吹きガラス」づくりにおいて、この「垂描文」をつくりだすためには、確かな技術と長年の経験が不可欠です。
スポットライトに照らされると展示ケースに影が映り、まるで万華鏡のように見える美しい作品です。
こちらの展示室のみ撮影が可能ですので、さまざまな視点から作品をご覧いただき、お気に入りの一枚をお撮りください。
企画展「受贈記念:没後10年 舩木倭帆展」は、12月3日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)