スタッフブログ
アサヒグループ大山崎山荘美術館のスタッフが交代で山荘の日々を綴るブログです。展覧会に関する内容や山荘のこと、四季の庭園についてなど、美術館のさまざまな情報をスタッフがご紹介します。イベントの最新情報もこちらでチェックしてください。
「櫛・かんざしとおしゃれ展」ご紹介 その4
本日は大変ご好評をいただいております、「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 櫛・かんざしとおしゃれ展」から、本館1階山本記念展示室の展示についてご紹介いたします。
山本記念展示室では、「四季の彩り」「長崎・南蛮文化」「名匠が描いた職人技」「家紋と日本地図」など、テーマごとに櫛・かんざしを展示しています。
「名匠が描いた職人技 羊遊斎」では、多くの佳作を残す名匠、原羊遊斎の手による櫛を集めています。
羊遊斎は大名家御用達の職人として活躍し、華やかな櫛を手がけました。《藪柑子文様蒔絵櫛》は、江戸琳派の祖である酒井抱一が下絵を手がけ、羊遊斎が制作した豪華なコラボレーション作品となっています。
また、羊遊斎は《長崎出島風景図蒔絵鼈甲櫛》など同時代の風景をも櫛の題材として用いており、古典柄からモダンな絵様まで幅広く手がけた人物と言えるでしょう。本展には、山本記念展示室以外にも羊遊斎の櫛がありますので、探してみてくださいね。
また、「四季の彩り」では、《燕と夏草文様蒔絵象牙櫛》にぜひ注目してみてください。
3羽の燕をななめ上から見下ろすように描かれており、広げた羽と背中が見えます。そしてこの裏にも同様に燕が描かれているのですが、今度は後ろからのアングルで描かれ、腹を見せているのです。本来、櫛は髪に「立てて」使うもの。立体としての魅せ方に遊び心が効いた作品です。(本作の裏面は写真パネルにてご覧いただけます(上写真)。表面は実際に展示室でご覧ください!)
本展の会期も残すところ約2週間となりました。
女性たちのおしゃれへの飽くなき探求に応えた、小さな櫛に凝縮されている圧倒的な職人技を、ぜひご覧ください。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
(K)
水仙が見ごろです
暦の上では春を迎えていますが、まだまだ寒い日が続いています。
冬晴れが続く3連休、当館のお庭を散策してみるのはいかがでしょうか。
冬に咲く花といえば、水仙。
当館の庭園では、水仙が見ごろをむかえています。
実はこの水仙、少しひっそりとした場所に咲いています。広いお庭の中で皆さまに見つけていただけるよう、道順をご案内したいと思います。
まずは芝生広場にあるうさぎの像、バリー・フラナガンによる作品《ボールをつかむ鉤爪の上の野兎》を見つけます。
うさぎの像向かって右側に、階段があるのでこちらを途中まで下ります。
右手斜面を見ると......
一面の水仙が!
幾重にもかさなった花びらが見事です。冬空の下、けなげに咲く姿に心癒されます。
白い水仙の花言葉は「神秘」。厳しい寒さの中でも美しい花を咲かせる水仙には、神秘的なものが感じられます。
また、花の近くでは爽やかな香りも楽しめますよ!
開催中の「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 櫛・かんざしとおしゃれ展」と併せて、冬の庭園もお楽しみください。
(K)
「櫛・かんざしとおしゃれ展」ご紹介 その3
本日は大変ご好評をいただいております、「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 櫛・かんざしとおしゃれ展」から、山手館の展示についてご紹介いたします。
山手館では象牙や鼈甲、蒔絵に加え、ガラスや金属、茶金石といった珍しい素材の櫛・かんざしも展示しております。江戸時代の日本にもガラスを加工する技術はありましたが、櫛に使われるような薄いガラスを作ることは難しく、板ガラスは輸入品に頼っていました。《楼閣帰帆図銀装ガラス鼈甲櫛》は、高価な輸入品である板ガラスに希少な鼈甲を組み合わせた、贅沢な櫛といえるでしょう。
ガラスに銅を混ぜた茶金石は江戸時代に流行した素材です。《茶金石櫛(櫛立付)》はつつましやかな茶色の中に、銅の細鱗がきらきらと金箔のように輝いています。
1月29日から後期展示となり、山手館の浮世絵は34点すべて前期とは異なる作品にかわっておりますので、前期展示期間にお越しいただいた方も新たな作品との出合いをお楽しみいただけるのではないでしょうか。鼈甲の櫛・かんざしと、鼈甲のかんざしを身に着けた女性の浮世絵が隣合わせになっているなど、櫛・かんざしと浮世絵を関連付けて展示している箇所もありますので、ぜひ注目してみてください。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
(K)