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黒田辰秋展関連イベント「漆工文化財の保存修理について」講演会を開催
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の関連イベントとして、本展の展示作品修理をご担当いただいた目白漆芸文化財研究所の室瀬智弥さんと鷺野谷一平さんをお迎えした講演会を2023年4月16日に開催しました。
会場には80名を超すお客様にお集まりいただきました。
「漆工文化財の保存修理について -アサヒビール大山崎山荘美術館所蔵作品の修理を終えて」と題したこの講演会では、漆工文化財の保存に取り組む目白漆芸文化財研究所の活動についてご説明いただいたほか、後半では黒田辰秋展で展示している作品の具体的な修理工程について解説していただきました。
写真左が鷺野谷さん、右が室瀬さんです。
会場では、作品の亀裂等を接着する「麦漆」を実際に作っていただき、その粘着性の高さや実際の修理方法について、具体的にお話いただきました。鷺野谷さんの手元をスクリーンに投影し、小麦と水、漆で練り上げる「麦漆」を作る様子を会場のみなさんと見つめます。
お越しになったお客様には漆に関心の高い方々が多く見受けられ、専門的な質問が飛び交いました。
文化財の修理にあたっては、損傷の要因や作品の価値、未来に受け継ぐための保存方法など、様々な視点で検証されるそうです。
こうした丁寧な作業を経て、黒田辰秋の作品も修理されています。是非会場でその作品群をご鑑賞ください。
黒田辰秋展は、2023年5月7日まで開催しています。皆様のお越しをお待ちしております。
(OT)
没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより ご紹介その4
本日は、現在開催中の企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の展示室のようすをご紹介します。![]()
山本記念室では黒田作品の技法について解説していますが、本日は「拭漆」についてご紹介します。
拭漆とは、木製品の仕上げとして半透明の透漆を表面に塗る技法です。素地に生漆を塗ったあと拭きとり、乾かしてから研ぐことで木地固めをくり返します。その上に生漆と砥の粉を練り合わせた錆を塗って拭きとり、さらに漆を塗って拭きとる作業を何度か行い、仕上げ塗りを行います。
拭漆振出し(1928-34年頃)
振出しとは茶道具の一種で、金平糖などの小粒のお菓子を入れる菓子器のことです。中に入ったお菓子を振出して用いることから、その名前がついたと言われています。
アサヒビール初代社長・山本爲三郎が所有していた振出しには、薬味入れとして使用されたものがあったそうです。この作品も口の部分が狭くなっていますので、食卓で使われていたのかもしれませんね。
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」は、5月7日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)
没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより ご紹介その3
本日は、現在開催中の企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の展示室のようすをご紹介します。![]()
山本記念室では、「拭漆」「朱漆」「螺鈿」「乾漆」「溜漆(溜塗)」それぞれの技法を解説し、黒田が手がけた作品をご覧いただけます。
中でもひときわ目を引くのが、「螺鈿」ではないでしょうか。
螺鈿とは、貝殻の真珠質の部分を研いで厚みや形を調整し、木地や乾漆の表面にはめ込んだり貼りつけたりする技法です。貝殻は、アワビ貝や白蝶貝、夜光貝などが使用されますが、中でも黒田はメキシコアワビ貝に魅了され、メキシコアワビ貝を施した作品を30代の頃から数多く制作しています。
耀貝白蝶貝螺鈿流卍文飾箱(1970年) 佐川美術館蔵
「耀貝」とは、木版画家の棟方志功が黒田のメキシコアワビ貝の加飾を称賛してつけた名前です。この作品は丸みを帯びた箱全体にメキシコアワビ貝と白蝶貝が施され、まばゆく光り輝いています。![]()
螺鈿に使用されるメキシコアワビ貝と白蝶貝の貝殻も参考として展示していますので、あわせてお楽しみください。
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」は、5月7日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)

