スタッフブログ
絵の花と庭の花
当館は、夏にモネの《睡蓮》と庭園の睡蓮との競演を見られることで知られていますが、実はそれ以外にも絵と庭がシンクロすることが、たまにあります。
現在の展示についていえば、5月5日時点、思いつくだけでも3つの花がリンクしています。
そのひとつがこちら。・・・?
部分拡大では何が何やらさっぱりわかりません。
全体像です。画家後期の作品でだいぶ抽象化が進んでいるため、引きで見てもわかりにくいのですが、こちらはクロード・モネ《アイリス》1914-17年です。ジヴェルニーにあるモネ自邸の庭の睡蓮池の傍らに咲いていた、アイリスが描かれています。今回は常設展示としてお目見えしています。
庭園のレアキャラのひとりです。ぜひ見つけてみてください。アイリスの花の香りは香水に使われていることも多いですね。ただ、悲しいかな、アイリスが咲いているのは立ち入りができない区域なのです。
本館前のつくばいに、こんな風流なものがありました。ぜひ、近づいて胸いっぱい香りをすいこんでみてください。つくばいの花はあったりなかったり、内容が変わったりもしますので、今だけのお楽しみです。
(A)
黄緑色の光
桜や紅葉の美しさは言うまでもないことですが、実は隠れた人気を誇るのが新緑の季節です。
なにがいいって、光の色が違うんです。
薄いライトグリーンのヴェールを透過した太陽光が、庭園だけでなく、建物の隅々にまで行きわたって、美術館全体がぱあ~っと黄緑色に染まるんです。本当ですよ。
まだ柔らかい若葉から光が透けて見えるのがわかりますか?
睡蓮池のほとりにある藤棚は、ジヴェルニーのモネの庭を思わせます。
花はあっという間に終わってしまうので、見られるチャンスは今だけです。
さて、ここから屋内の光を見てみましょう(! 館内は写真撮影できません)。
同じく睡蓮池のほとりには、安藤忠雄設計による地中館があります。
鏡のようになめらかな打ちっ放しのコンクリートが、黄緑色を映し出していますね。
時間帯によっては、天井のコンクリートに水面がゆらゆら映って、まるで水の中を歩いているような錯覚におそわれます。
本館のサンルームのレースカーテンの向こう側には、楓が広がっています。
朝の清々しい光は格別ですよ。
黄緑色の光は、屋内にも深く差し込んできて、黒い木材に映り込みます。
春は、お部屋の中にもやってくるんですね。
池の水にも容赦なく黄緑は入り込んできます。
もっと撮影が上手ければよかったのですが・・・。本物の美しさはこんなものではありません。
日々の喧騒を離れて「自分も黄緑色に染まりたい!」という方はぜひ当館へ。
ただし、鳥たちのテンションが非常に高い時期ですので、少々うるさいかもしれません。
(A)
4/20 本日の桜と庭園