スタッフブログ
アサヒグループ大山崎山荘美術館のスタッフが交代で山荘の日々を綴るブログです。展覧会に関する内容や山荘のこと、四季の庭園についてなど、美術館のさまざまな情報をスタッフがご紹介します。イベントの最新情報もこちらでチェックしてください。
東山魁夷のスケッチ展 ご紹介その2
秋風が肌に心地よい季節となりました。
本日は、展覧会「東山魁夷のスケッチ ―欧州の古き町にて」のご紹介第2弾です!
東山魁夷は、ドイツ留学から帰国したのち、戦争や肉親の死を乗り越えながら、次第に自らの画業を確立していきました。
人気作家として忙しなく制作に追われる日々を過ごすなかで、かつて写真集で見た北欧への旅を考えるようになります。そして1962年、魁夷54歳のとき、日常から離れ、大自然の静寂の中で自らを省みる時間を持ちたいとの思いからついに北欧へと旅立ちます。
約3か月にわたって北欧の4か国、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドを巡り、北欧の自然と街をスケッチに描きとどめました。そのほとんどは帰国後の制作に結びつくこととなります。
前期期間には、デンマークで描いた「リーベの家」「倉庫」をスケッチと本制作をあわせてご覧いただくことができます。
魁夷が描写する、ふとくたくましい巨木には生命感がみなぎり、色とりどりの街並みには、異国のものを目にした驚きと疎外感が漂います。そして、水面に映りこむ情景には研ぎ澄まされた精神が感じられます。あこがれの森のなかで触れた感動が、東山芸術にさらなる幻想性をもたらしたのではないでしょうか。
魁夷の旅はまだまだ続きます。ぜひ展示室にて、その旅路をたどってみてくださいね。
皆さまのご来館をお待ちしております。
(M)
東山魁夷のスケッチ展 喫茶メニューのご紹介
本日は、展覧会「東山魁夷のスケッチ ―欧州の古き町にて」会期中に、本館喫茶室にてお楽しみいただける特別メニューをご紹介いたします。
当館の喫茶室では、毎回開催中の展覧会にちなんだリーガロイヤルホテル京都さんの特製オリジナルスイーツを提供し、ご好評をいただいております。今回は魁夷が訪れた地、ドイツ、オーストリア両国で親しまれている伝統的なスイーツをアレンジした2種類のケーキをご用意しました。
シナモンの香り高い焼き菓子と、りんごを敷き詰めた焼き菓子を木苺のジャムで塗りかさねて仕上げました。シナモンの香りと甘酸っぱい木苺のジャム、甘く炊いたりんごのコラボレーションが絶妙です。
ビターチョコレートを使用したガトーショコラに、オレンジピールをまぜ込んだ焼き菓子をあんずのジャムで塗りかさねました。仕上げにはオレンジの香りのホワイトチョコレートクリームで表面をコーティングしています。ほのかに香るオレンジが爽やかなケーキです。
さらに、同じく限定メニューとて、ドイツワイン「Zeller Schwarze Katz(ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ)」をご用意しております。
「黒猫」のラベルで親しまれている、口当たりの良い甘さとフルーティーな香りが魅力のワインです。ツェラー・シュヴァルツェ・カッツは「ツェル村の黒猫」という意味で、ドイツのツェル村及びその周辺で製造されています。
当館では、古くからの伝統と醸造技術をあわせもつ信用あるブランドとして、各国で愛飲されているドラーテンのものをご用意しました。
また、ミロ展の際ご好評いただきました、スペイン産黒トリュフを使用したポテトチップス「TORRES(トーレス)」も引き続きご用意しております。ぜひワインと合わせてお召し上がりください。
展覧会をご鑑賞の後は、喫茶室でほっと一息、魁夷の旅に心を寄せてみてはいかがでしょうか。気候も良くなってきましたので、ぜひテラス席もご利用くださいね!
皆さまのご来館をお待ちしております。
(M)
東山魁夷のスケッチ展 ご紹介その1
日増しに秋の気配が濃くなってまいりました。当館ではただいま展覧会「東山魁夷のスケッチ ―欧州の古き町にて」を開催しております。
展覧会を皆さまによりお楽しみいただくために、このブログでも東山魁夷展を数回に分けてご紹介していきます。本日はご紹介第1弾です!
風景画家としてひろく知られる東山魁夷ですが、その制作活動は様々な地を旅するなかで目にした、自然の営みにもとづきます。本展では、旅好きな魁夷の、なかでも欧州の旅に焦点をあて、その旅にまつわるスケッチ類をご覧いただける機会となっております。
展覧会は会期を前期・後期に分け、スケッチ、習作、さらにはスケッチをもとに描かれた本制作の約100点を展示いたします。(※スケッチ、習作はすべての作品を前後期で入れ替えます。)
前期 9月14日(土)‐10月27日(日)
後期 10月29日(火)‐12月1日(日)
前期・後期ともに、魁夷が心ゆくままに描きとどめた、情緒あふれる作品ばかりです。
魁夷が初めて異国の地を訪れたのは、25歳、ドイツ留学のころに遡ります。東京美術学校を卒業したのち、日本画の新しい表現を求めてさまざまな芸術をその眼で確認すべく、ドイツへ旅立ちました。
貨物船に便乗した魁夷は、ドイツへ向かうまでに経由した先々でも、各地の様相をスケッチに残しています。
本館1階山本記念展示室にてご覧いただけるスエズ紀行の連作では、はじめて目にする異国の風景や人々の営みを明るい色彩で伝えてくれています。
魁夷がベルリンへ到着したのは1933年、ナチスが政権を取り、ヒトラーが首相となった年でもあり、街は第二次世界大戦へ向かう不穏な空気に包まれていました。魁夷は、戦前のベルリンの様子を知る貴重な日本人のひとりでもあったのです。
勉学に励むとともに、ヨーロッパ巡遊に出かけるなど、充実した日々を過ごしていた魁夷ですが、父の病気の知らせを受け、留学期限の半ばで帰国の途につきました。
留学の終わりは不意に訪れましたが、留学の際に入手した旅行書などの資料はその後も大切に保管されていたようです。『ベデカー旅行案内書』をはじめ、魁夷と旅をともにした資料もご覧いただくことができます。
なお、山本記念展示室では、魁夷が留学中に訪れた各地にちなんだ当館所蔵のやきものを合わせてご紹介しております。青年魁夷の旅にもぜひ思いを馳せてみてくださいね。
皆さまのご来館をお待ちしております。
(M)