スタッフブログ
「櫛・かんざしとおしゃれ展」ご紹介 その5
本日は大変ご好評をいただいております、「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 櫛・かんざしとおしゃれ展」から、本館2階の展示についてご紹介いたします。
本館2階の展示室3・4では、当館コレクションの核である山本爲三郎コレクションより、濱田庄司、河井寬次郎、芹沢銈介ら民藝運動の中心となった作家による陶磁器や掛軸を展示しています。
その中でも今回注目していただきたいのが、柴田是真による《漁村風景》。
柴田是真は漆工、絵画の両方に長け、漆芸家でありながら画家としても活躍しました。和紙に色漆で絵を描く「漆絵」を発展させた人物でもあり、《漁村風景》も「漆絵」の技法で描かれています。そして、柴田是真は「櫛・かんざしとおしゃれ展」で展示中の《扇文様蒔絵櫛》も手がけています。柴田是真の漆芸家としての仕事と、画家としての仕事、両方をご覧いただくことができます。
改めて《漁村風景》を見ると、藁ぶきの屋根に見える白色は雪でしょうか。今の季節にぴったりのお軸です。寒さの中にもくらしの息づかいが伝わってくるような漁村の様子が、のびやかに描かれています。こちらの作品は2階に上がってすぐ右手、展示室3にございます。1階の特別展だけでなく、2階の展示もご一緒にお楽しみください。
本展も残すところ1週間となりました。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
(K)
「櫛・かんざしとおしゃれ展」ご紹介 その4
本日は大変ご好評をいただいております、「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 櫛・かんざしとおしゃれ展」から、本館1階山本記念展示室の展示についてご紹介いたします。
山本記念展示室では、「四季の彩り」「長崎・南蛮文化」「名匠が描いた職人技」「家紋と日本地図」など、テーマごとに櫛・かんざしを展示しています。
「名匠が描いた職人技 羊遊斎」では、多くの佳作を残す名匠、原羊遊斎の手による櫛を集めています。
羊遊斎は大名家御用達の職人として活躍し、華やかな櫛を手がけました。《藪柑子文様蒔絵櫛》は、江戸琳派の祖である酒井抱一が下絵を手がけ、羊遊斎が制作した豪華なコラボレーション作品となっています。
また、羊遊斎は《長崎出島風景図蒔絵鼈甲櫛》など同時代の風景をも櫛の題材として用いており、古典柄からモダンな絵様まで幅広く手がけた人物と言えるでしょう。本展には、山本記念展示室以外にも羊遊斎の櫛がありますので、探してみてくださいね。
また、「四季の彩り」では、《燕と夏草文様蒔絵象牙櫛》にぜひ注目してみてください。
3羽の燕をななめ上から見下ろすように描かれており、広げた羽と背中が見えます。そしてこの裏にも同様に燕が描かれているのですが、今度は後ろからのアングルで描かれ、腹を見せているのです。本来、櫛は髪に「立てて」使うもの。立体としての魅せ方に遊び心が効いた作品です。(本作の裏面は写真パネルにてご覧いただけます(上写真)。表面は実際に展示室でご覧ください!)
本展の会期も残すところ約2週間となりました。
女性たちのおしゃれへの飽くなき探求に応えた、小さな櫛に凝縮されている圧倒的な職人技を、ぜひご覧ください。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
(K)
「櫛・かんざしとおしゃれ展」ご紹介 その3
本日は大変ご好評をいただいております、「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 櫛・かんざしとおしゃれ展」から、山手館の展示についてご紹介いたします。
山手館では象牙や鼈甲、蒔絵に加え、ガラスや金属、茶金石といった珍しい素材の櫛・かんざしも展示しております。江戸時代の日本にもガラスを加工する技術はありましたが、櫛に使われるような薄いガラスを作ることは難しく、板ガラスは輸入品に頼っていました。《楼閣帰帆図銀装ガラス鼈甲櫛》は、高価な輸入品である板ガラスに希少な鼈甲を組み合わせた、贅沢な櫛といえるでしょう。
ガラスに銅を混ぜた茶金石は江戸時代に流行した素材です。《茶金石櫛(櫛立付)》はつつましやかな茶色の中に、銅の細鱗がきらきらと金箔のように輝いています。
1月29日から後期展示となり、山手館の浮世絵は34点すべて前期とは異なる作品にかわっておりますので、前期展示期間にお越しいただいた方も新たな作品との出合いをお楽しみいただけるのではないでしょうか。鼈甲の櫛・かんざしと、鼈甲のかんざしを身に着けた女性の浮世絵が隣合わせになっているなど、櫛・かんざしと浮世絵を関連付けて展示している箇所もありますので、ぜひ注目してみてください。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
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