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展覧会

男たちの情熱のゆくえー加賀とニッカと山荘と:その2

1952年、苦境にあったニッカに元日本銀行統計局長だった土井太郎が入社すると、病床の加賀は土井と盛んに手紙をやり取りします。1950年頃から咽頭がんを患っていた加賀は、土井に宛てた手紙のなかで、自身の体調にふれることもありました。1952年8月6日付の手紙では、小康を得ているが、癌という時限爆弾を抱えているようなものなのでそれを自覚し、明朗に天寿を全うしたい、あわてず騒がず急を要するものを優先し出来るだけの事をするしかない、死は人生に唯一均等な鉄則である、と、冷静に語っています。彼の人柄が垣間見えるようです。

また戦後の自身の事業について、林業は自然の力が主体で、証券業はすでに回復した。残る心配はニッカだけだ、と述べ、闘病生活のなかでニッカの経営について心をくだいていたことが伝わります。

(3につづく)