展覧会
藤田嗣治 心の旅路をたどる―手紙と手しごとを手がかりに ご紹介その5
引きつづき企画展のようすをお届けします。
展示の最終章にあたる山本記念展示室では、戦後日本を脱出した藤田が再びパリに戻り、その生涯を閉じるまでの間に制作された作品を見ることができます。
藤田は晩年になってもなお、絵画の制作や手しごとに精力的に取りくんでいました。
《シャペルフジタ》(制作年不詳、岐阜県美術館寄託)
こちらは、写真や布を使ったコラージュ作品です。自らデザインと設計を手がけた礼拝堂シャペルフジタの前に、藤田と君代夫人、シャンパンのメゾン「マム」の社長夫人が配置されています。
写真の人物には、布や毛皮で作った衣装が着せられています。ジャケットの飾りや耳元のピアスなど細部まで丁寧に作りこまれており、見飽きることがありません。
「マム」の社長ルネ・ラルーは藤田の洗礼式の代父を務めた人物であり、礼拝堂の建設は彼の大きな支援によって実現したものでした。本作には社長夫妻と藤田夫妻の親密な関係が示されています。また、作りこまれた細部からは、年を重ねても尽きることのない、手しごとに対する藤田のこだわりと愛情が感じられます。
藤田嗣治展は2月25日まで。19日(月)も開館しております。
皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
(TM)