展覧会
没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより ご紹介その5
本日は、現在開催中の企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」の展示室のようすをご紹介します。
本館2階の展示室3では、黒田辰秋を支えた民藝の同人たちの作品がご覧いただけます。
1927年に制作された河井寬次郎の作品《海鼠釉線文瓶》も展示しています。海鼠釉とはワラや竹の灰を原料にした釉薬のことで、複雑に入り混じった色合いがナマコを思わせることから名づけられました。色もさることながら、丸みを帯びたフォルムが美しく、縦に入った線が形状の美しさをさらに際立たせています。
黒田は17歳のころ、京都の画廊で河井の作品を見て大きな衝撃を受けたそうです。その数年後、大阪で開かれた河井の講演を聞いた帰り道、一緒にいた友人から河井を紹介されます。この出会いをきっかけに、黒田は五条坂にある河井の家を訪ねるようになり、やがて柳宗悦や青田五良との出会いを経て、1927年の上加茂民藝協団の設立へと至ります。
1927年といえば「日本民藝美術館設立趣意書」を発表した翌年にあたり、河井が作品の公表を控え作陶に専念していた時期です。黒田とともに、民藝運動に身を投じた河井の作品もぜひお楽しみください。
企画展「没後40年 黒田辰秋展 ―山本爲三郎コレクションより」は、5月7日(日)まで開催中です。
みなさまのお越しをお待ちしております。
(TH)