夢をめぐる展 ご紹介その2
臨時休館が明け、開館25周年記念展「夢をめぐる ―絵画の名品より」を再開いたしました。
今回は、展示中のクロード・モネの作品や、資料についてご紹介します。
ジヴェルニーでの暮らし
長年旅に明け暮れたモネは、1883年43歳のとき、パリからおよそ70㎞の距離にある静かな小村、ジヴェルニーに居を定めます。広い敷地をもつ家で作庭にとり組み、小川から水を引いて池をつくり、睡蓮やアイリスを育て、また日本風の太鼓橋を架けるなど、あこがれていた日本のイメージを具現化することに熱中しました。この夢の庭で、モネはみずみずしい光や大気までも表現しようと制作を続けます。
展示室1では、当時モネが、パリに住む友人・ギュスターヴ・ジェフロワにあてて書いた手紙をご覧いただけます。
1915年6月、ジヴェルニーの庭に睡蓮の花が咲き誇っていたであろうときに、友人を招いた貴重な記録です。モネはジェフロワに、制作中の作品を見せようと思っていたのでしょうか。
《睡蓮》の制作
モネの代表作である《睡蓮》連作は、このジヴェルニーの庭で生まれました。
本展では、《睡蓮》をはじめとするモネの作品、あわせて7点をご覧いただけます。そのうちの1点がこちら。
ピンクや黄色といった睡蓮の花があちらこちらに咲き、かわいらしいですね。
《睡蓮》連作では、当初は橋や柳など、池の周囲の様子まで描かれていましたが、作を重ねるにつれて視点は池に近づき、やがて水面だけが画面を覆うようになりました。
この作品も、画面は水面と睡蓮だけで構成されていますが、空間の奥行き、空や木々が映り込んだ水のゆらぎが、非常にたくみにとらえられています。池の前に立ったときの、しっとりとした空気感までも感じられるような作品です。
現在、美術館の池にも、睡蓮の花が次々と咲き始めています! ご来館の際は、ぜひ合わせてお楽しみくださいね。
(R)