イベント&ワークショップ
展覧会
東山魁夷のスケッチ展 講演会
本日は、ただいま開催中の展覧会「東山魁夷のスケッチ ―欧州の古き町にて」の関連イベントといたしまして、本展覧会の監修者でもある、茨城県近代美術館長の尾﨑正明氏にご講演をいただきました。
東山魁夷の欧州の旅を取り上げる本展覧会にちなみ、魁夷の旅の意味と旅を通じて生まれた作品についてお話をいただきました。
魁夷の風景画が多くのファンを魅了する理由として、作品に一貫して感じられる、研ぎ澄まされた精神が挙げられます。
西洋では自然風景を見たままに描くのに対し、日本では山水画に代表されるような、写実よりも精神性を重んじる心象風景が培われてきました。魁夷は日本画の新たな表現を求めながらも、その心には日本の伝統的な趣向があったのだといいます。
また、魁夷の作品に人物がほとんど描かれない点について、人々の心のさまがこもった風景そのものが、肖像性を持ち合わせるのではないかとの示唆をいただきました。
質疑応答の際には、スケッチの本制作と変わらぬ色づかいや完成度の高さが話題となり、旅先で手がけたにもかかわらず、丁寧に仕上げられている点にはお客様からも感嘆の声があがりました。
常に自然とのふれあいを求め、さまざまな地を旅しながら、人々の生きた証を描きとどめようとした魁夷の魅力がさらに深まる機会となりました。
展覧会は12月1日まで開催しております。
庭園の木々も色づきはじめていますので、紅葉の散策も兼ねて、芸術の秋のひとときをぜひ当館でお過ごしくださいね。
皆さまのご来館お待ちしております。
(M)