彫刻
アルベルト・ジャコメッティ
《ヴェネツィアの婦人Ⅷ》
制作時期
1956年

ジャコメッティの彫刻に特徴的な、針のように極端に引きのばされた人体像は、さまざまな様式を模索して生まれたものです。肌合いや肉付けという要素をすべてそぎ落とし、人物彫刻としての限界まで最高度に単純化された形態は、人物の存在と空間との関係を示唆しているようであり、人間存在の苦悩をも暗示しているようです。