ブログで大山崎山荘ツアー③ 庭園と茶室
初夏の日差しに天王山の草木が青々と育っていきます。
アサヒビール大山崎山荘美術館は天王山の麓にあり、四季折々に花が咲く美しい庭園も愉しむことができます。
大山崎山荘を建てた加賀正太郎は実業家として活躍する一方で、大変な趣味人でもありました。
東京高等商業学校(現・一橋大学)在学中、日英博覧会観覧のためヨーロッパを遊学した際には、スイスの名峰ユングフラウに日本人として初めて登頂を果たし、現在もアルピニストとして名を遺しています。
また、大規模な蘭の温室栽培を大山崎山荘で行い「蘭の館」と言われるほどに。そして、現在も名門ゴルフ場として知られる茨木カンツリー倶楽部の設立にも力を注ぎました。
大山崎山荘の庭園も、加賀の設計によるものです。
趣味人としてのこだわりは庭のいたるところにも見受けられます。当時は天王山から水が引かれ、庭園に巡らせ池を造りました。植木に至るまでこだわり、デザインされた庭園には、現在も季節の移り変わりに合わせていろいろな種類の花が開きます。
美術館のホームページでは、
季節の庭園マップ をご覧いただくことができます。
そして、当時は庭園内にいくつかの茶室が点在していました。
現在残っている茶室は2棟。どちらも国の登録有形文化財で、通常は非公開です。
本館入口手前にある「橡の木茶屋(とちのきちゃや)」は数寄屋風の意匠をこらした立礼式の茶室です。昭和天皇の即位を記念して建てられたと言われています。
本館の入口から見ると一階建てのようですが、
山の斜面を活かして建てられており、横の道から降りて...
下から見てみると、コンクリートに石張りの建物の上に茶室が乗っており、2階建ての建物だったことが分かります。
もう1棟は「彩月庵(さいげつあん)」と呼ばれる茶室です。
竹の林を抜けた先、宝積寺との境界近くに、ひっそりと建っています。
立礼式の茶室です。
当時は持仏堂としても使われ、本館から池の敷石づたいに茶室に来られるようになっていました。
自然を取り込みながら「暮らす環境」をデザインした加賀正太郎。
茶室や庭の在り方にも、彼の思いを感じることができます。
次回はいよいよ、本館についてご紹介していきます。
(IK)