「蘭花譜は過去30ケ年に於ける余が温室の業績の一部の記録である。図版は厳重なる学術的記録として、一点一画もゆるがにせず、然かも其各葉を取りて之れを額縁にはさみ、壁に掲ぐる時は、一幅の絵画として、美術品として、観賞に値するものにする事が余の希望であった」(加賀正太郎「蘭花譜序」より抜粋)
また当時、大山崎山荘には多くの貴紳が訪れていますが、日本洋画壇を代表する川島理一郎(明治19年-昭和46年)もその一人です。彼は長く蘭をその作品の主題として描き続けましたが、大山崎山荘には昭和15-20年頃に何度か訪れ、蘭の作品を制作しています。
蘭栽培が行われた頃から長い年月を経て、美術館として再生し、平成16年、有形文化財に登録されたこの大山崎山荘において、「蘭花譜」や川島理一郎の蘭の作品を中心に紹介し、大山崎山荘の在りし姿を追っていきます。
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