本展は【 クリスマス 】と【 正月 】のお祝いのどちらの意味も持ち合わせた
「 オランダ正月 」をテーマに、往時の日本と西洋文化の交流を偲ばせる作品をご覧いただきます。
「 オランダ正月 」とは江戸時代に、太陽暦の1月1日に行った新年のお祝いの
ことです。長崎出島に住むオランダ人は、大勢の客人を呼び祝宴を開き、西洋料
理やワインを振る舞いました。キリシタン禁令下にあって、実はクリスマスを密
かに祝う行事だったとも言われています。日本人で初めて太陽暦でお正月をお祝
いしたのは大槻玄沢をはじめとする蘭学者達で、これも「 オランダ正月 」と呼んでいました。 |
鎖国令下の日本の人々にとって、長崎の出島は外の世界に向かって開けられ
た、ただひとつの窓でした。出島のオランダ商館の生活やカピタン(船長や商館
長のこと)などは好奇の的であり、絵師達の描く泥絵絵画は、長崎土産として、
広く流布しました。 |
『 オランダ船図 』は、ヨーロッパから長崎まで万里の波涛を乗り越えて来た
オランダ船です。船上ではカピタンの指揮のもと、船乗り達がきびきびと立ち働
いています。風をはらんだ帆、旗、船尾、火砲の配置も面白く、呉粉で描かれた
波の描写は秀逸です。『 オランダ商館饗宴図 』は、「 オランダ正月 」を祝う
長崎オランダ商館長他のオランダ人達の食事風景で大変珍しいものです。 |
このほか、『 カピタン肖像 』、ドイツ人ケンペルの
著した『 日本誌 』など、クリスマスから新年に相応しい作品を取り揃えて展示
いたします。 |