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「プリズム・ラグ」~手塚愛子の糸、モネとシニャックの色~展
会期 2011年3月17日(木)- 6月12日(日)

 
 本展覧会のキーワードは「虹色」です。

 印象派や新印象派は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の虹色を基本とする絵具をパレット上で混ぜずにカンヴァスに並置することで、視覚の中で光を混合させ明るい画面を作り出す技法である「筆触分割」を用いました。本展覧会では館蔵品の中から、色彩にこだわり「見える」ことを追求した、モネの『睡蓮』連作・『アイリス』やシニャックの『ヴェネツィア』を展示します。  

 美術家の手塚愛子は布と糸を使って、ものが内包する時間的プロセスや歴史的な蓄積といった、表には「見えない」部分をあらわにします。たとえば、織物から引き出された赤・青・緑といった色糸は絵画における原色の絵具を連想させますが、織られたものを素材に戻すことによって、それらが織られた時間をも示唆していきます。これはもともと表面しか見えない、けれどもそのなかに多重の層を含み持つ「絵画」の制作から出発した手塚の「解体 - 再構築」の試みと言えます。  

 冬が終わり、草木も一斉に芽吹く春。アサヒグループ大山崎山荘美術館には、カットグラスがプリズムとなって創り出される虹色の光が満ち溢れます。本展覧会は、「プリズム」が光を虹色に分解するように、普段ものを見ている角度にズレ(=ラグ)を生じさせることによって、通常の視線からこぼれ落ちてしまうものを可視化させ、見る者を新鮮な驚きと喜びに導くよう構成されています。


クロード・モネ
《睡蓮》
クロード・モネ
《睡蓮》
1907年 キャンバスに油彩
90×93㎝
当館蔵
クロード・モネ 
《アイリス》
クロード・モネ
《アイリス》
1914-17年 キャンバスに油彩
200×150㎝
当館蔵
ポール・シニャック 
《ヴェネツィア》
ポール・シニャック
《ヴェネツィア》
1908年 キャンバスに油彩
73.5×95㎝
当館蔵

手塚愛子
《緯を引き抜く(door)》
手塚愛子
《緯を引き抜く(door)》
2010年
既製品の織物から横糸を引き抜く
252 x 128 cm
(織物部分 70 x 176 cm)
手塚愛子
《同じ織物から引き抜いた二種類の糸》
手塚愛子
《同じ織物から引き抜いた二種類の糸》
2004年
織物,円形パネル
130×60cm
《参考作品》手塚愛子
《こぼれ落ちるものをすくうための器》
(参考作品)手塚愛子
《こぼれ落ちるものをすくうための器》
2010年
織物の縦糸で透明な布に刺繍,刺繍枠
105 x 31 cm
(刺繍枠直径 13.5 cm)

手塚愛子
《 lace - home 》
手塚愛子
《 lace - home 》
2010年
レースに刺繍,木枠
25 x 25 cm
手塚愛子
《 drape (Florence) 》
手塚愛子
《 drape (Florence) 》
2010年
お土産品の織物から
引き抜いた糸で刺繍
36 x 53 cm
手塚愛子
《 hem - home 》
手塚愛子
《 hem - home 》
2010年
裾部分の織物を解く
額装
45 x 32 cm
(布部分 20 x 10 cm)
手塚愛子 
《 hem - sky 》
手塚愛子
《 hem - sky 》
2010年
裾部分の織物を解く
額装
45 x 32 cm
(布部分 20 x 10 cm)


作家略歴

手塚愛子(1976年 東京都生まれ )
手塚愛子(1976年 東京都生まれ )
1999年 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 卒業
2001年 武蔵野美術大学大学院 造形研究科油絵コース 修了
2005年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科 博士(後期)課程 油画領域 修了
博士号(美術)取得 博士論文「織りとしての絵画」
2010年 五島文化記念財団 新人賞により渡英
2011年 文化庁新進芸術家海外研修制度により2年派遣研修員として渡独予定
-主な展覧会-
2005年
VOCA展2005 現代美術の展望 - 新しい平面の作家たち」上野の森美術館(東京)佳作賞受賞

2006年
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2006(新潟)

2007年
個展 「薄い膜、地下の森」スパイラル・ワコールアートセンター(東京)

2007年
「「森」としての絵画 :「絵」の中で考える」岡崎市美術博物館 (愛知)

2007年
「サイクルとリサイクル」愛知県美術館

2008年
「MOTアニュアル2008 解きほぐすとき」東京都現代美術館

2008年
「Tangent」国際芸術センター青森(青森)

2008年
「たねとしかけ」群馬県立近代美術館

2009年
個展「落ちる絵 - あやとり」ケンジタキギャラリー(東京)

2009年
「Stitch by Stitch - 針と糸で描くわたし」東京都庭園美術館

2009年
第1回所沢ビエンナーレ美術展「引込線」西武鉄道旧所沢車両工場跡(埼玉)

2009年
「City_net Asia 2009」ソウル市美術館(韓国)

2011年
「透明な果実」ケンジタキギャラリー(名古屋)、ケンジタキギャラリー(東京)

常設展「民藝の色」(本館2F展示室)

館蔵品の中から、河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、芹沢銈介、黒田辰秋など、民藝作家の名品をご覧いただきます。

ギャラリートーク

◆日時:
展覧会期間中、毎月第2土曜日(5月14日を除く) 14:00~14:30

◆場所:
当館展示室

◆内容:
学芸員による展示のみどころ解説

◆参加費:
無料(美術館入館料は別途必要) ※事前申し込み不要


カフェ企画「虹色 Fairy Cakes」

◆内容: リーガロイヤルホテル京都が展覧会のために特別にご用意したカラフルなフェアリーケーキ(カップケーキ)を会期中、当館喫茶室にて提供いたします。
-提供-  
◆期間: 展覧会会期中
◆場所: 当館喫茶室
◆料金: 800円(税込、ドリンク含む、美術館入館料は別途必要)
◆協力: リーガロイヤルホテル京都
カフェ企画「虹色 Fairy Cakes」

大山崎春茶会

◆日時: 5月14日(土)、15日(日)  11:00~16:00
(受付は15:30まで)
◆場所: 当館庭園・茶室など
◆内容: 恒例の中国茶会を開催します。
◆参加費: 1,000円
(税込、お菓子・お土産付き、
美術館入館料は別途必要)
※事前申し込み不要
◆共催: 中國茶會・無茶空茶
大山崎春茶会

※ 雨天決行
※お気に入りのお猪口くらいの茶杯をお持ちになってご参加ください

 (美術館でも購入できます)。
※本件のお問い合わせ先 TEL:06-6361-6910  e-mail : muchakucha@nifty.com
中國茶會・無茶空茶 黄 安希(ほあん あき)<茶事家>

※こちらのイベントは終了いたしました。

おちゃかい? 第16回「林業を愛でる」

「おちゃかい?」は、世界のむこう側をテーマとするレクチャーシリーズ。ナビゲーターの美術家・小山田徹さんが毎回ゲストをお招きして、その道の専門家から話を伺い、間にはお飲み物をお楽しみいただきます。会場は美術館離れにある野趣あふれる茶室で、気軽にご参加いただけます。


ゲスト:伊東昌紀(イトウ マサキ)(伊東木材(株)森林管理部長、林業家)
1981年京都府福知山市生まれ。
岐阜県立森林文化アカデミー 森のエンジニア科にて林業全般を学ぶ。
卒業後、岐阜県内の民間林業会社で3年間修業をした後、福知山に戻り、伊東木材にて稼業に従事している。現場で作業するかたわら、Iターンなどにより入社した若手の育成にも取り組む。また、京都丹州木材市場にて月2回開催される市売りの競り子を担当している。京都府認定青年林業士。

伊東 昌紀 (いとうまさき)

ナビゲーター:小山田徹(コヤマダ トオル)(京都市立芸術大学美術科准教授、美術家)
1961年鹿児島生まれ。 京都市立芸術大学日本画科卒業。1998年までパフォーマンスグループ「ダムタイプ」で舞台美術と舞台監督を担当。平行して「風景収集狂舎」の名で様々なコミュニティ、共有空間の開発を行ない現在に至る。近年、洞窟と出会い、洞窟探検グループ「Com-pass Caving Unit」メンバーとして活動中。

小山田 徹(こやまだとおる)
◆日時:
2011年6月4日(土)、5日(日)14:00~16:00

◆定員:
15名(先着順)

◆参加費:
無料(美術館入館料は別途必要)

◆内容:
「林業を愛でる」
京都府福知山の伊東木材(株)にて林業に携わる伊東さんは、自社の森「いともくの森」でヒノキやスギを育てています。地元の身近な木材を活かした住まいづくりにも取り組んでいます。伊東さんに林業の魅力と山林の不思議、林業家の日常を伺います。

◆参加受付:
FAXにてお申し込みください。FAX:075-957-3126
①お名前 ②ご住所 ③お電話番号 ④FAX番号 をご記入の上、「おちゃかい?係」まで


※こちらのイベントは終了いたしました。


アーティストトーク 手塚愛子

◆日時:
3月19日(土) 14:00~15:30

◆場所:
本館展示室1F、新館展示室

◆参加費:
無料(美術館入館料は別途必要)

◆定員:
20名 要予約(先着順)
※FAXにて参加受付(1)お名前(2)ご住所(3)お電話番号(4)FAX番号をご記入の上、 「プリズム・ラグ アーティストトーク係」まで。FAX: 075-957-3126

※こちらのイベントは終了いたしました。
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