大正から昭和初期という時代は、政治、経済、社会、文化において大正デモクラシーという自由主義的な雰囲気に包まれ、激動の第二次大戦が始まる前の、自由を謳歌した束の間の数十年間でした。西洋文化の大きな影響を受けながらも、日本が独自の近代社会のあり方を捉え直した、文化の成熟期といえるでしょう。当時多く輩出された近代の数寄者達は、自邸として洋館をこぞって建築しており、加賀正太郎もその一人として知られます。彼らの共通する傾向としては東洋趣味と西洋趣味、両方への関心であり、加賀は独自の考案により「大山崎山荘」を自ら設計し、1932年(昭和7年)までに完成させています。あわせて戦前から始めていた洋蘭の研究及び栽培成果をまとめ、図版集『蘭花譜』を制作しました。 |
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『蘭花譜』より
「シンビディウム・カツラ」
加賀正太郎 |
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