
本展では、印象派の巨匠クロード・モネと2人の現代の美術家による睡蓮をモチーフとする作品を紹介します。睡蓮は、クロード・モネが最も好んだモチーフです。その珠玉の名画を館蔵品から5点全数公開します。
植物を木から彫り出し、彩色して精緻な作品をつくる須田悦弘は2002年、モネを意識しながら当館展示用に『睡蓮』を制作しました。須田による新作と合わせて、本作を展示します。
動植物、人などをモチーフに刺繍で作品をつくる伊藤存は2009年、大山崎山荘の池をのぞき込み、睡蓮の葉の重なりや池に泳ぐ巨大な草魚(そうぎょ)に注目して新作をつくりました。
モネを中心に、三者三様の視点、手法、表現をお楽しみいただきます。さらに小説家・福永信(ふくながしん)による書き下ろしエッセイを本展冊子に掲載し、言葉の世界が美術と連鎖して、不思議な睡蓮池の世界がもうひとつ花開きます。
- クロード・モネ『睡蓮』
1907年 90×93㎝
- クロード・モネ『睡蓮』
1914年~1917年 130×152cm
- クロード・モネ『睡蓮』
1914年~1917年 150.5×200cm
- クロード・モネ『睡蓮』
1914年~1917年
200×200㎝
- クロード・モネ『睡蓮』
1914年~1917年 180×200cm
- 須田悦弘『睡蓮』
2002年
- 伊藤存『ハス等分』
2009年 25.8x40.1cm

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伊藤存作品展示風景
伊藤存『この苔庭にいのししはいない』(上段左)
伊藤存『ウラのサル』(上段右)
バーナード・リーチ『呉須釉線刻文陶板 三種』(下段左)
濱田庄司『銅緑釉蝋抜格子文角鉢』(下段中)
伊万里 赤絵山水文壺(下段右)
- 伊藤存『苔庭』


1992年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。草花を等身大のサイズで木から彫りだし、彩色、きわめてリアルな作品をつくる。それを空間に設置することで、作品は静かなる存在感をもってわたしたちに訴えかけてくる。1993年「銀座雑草論」(銀座パーキングメーター)で個展デビュー。その後、原美術館(東京)、アート・インスティテュート・オブ・シカゴ(シカゴ)、パレ・ド・トーキョー(パリ)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川)、国立国際美術館(大阪)など個展多数。2002年には当館にて「水の流れ、水の重なり」を開催。2009年はホノルル現代美術館(ハワイ)、アジア・ソサエティ美術館(ニューヨーク)など世界各地で個展を開催。

1996年京都市立芸術大学美術学部卒業。動植物や人をモチーフとする刺繍・映像作品をつくる。糸の盛り上がり、針の運びにより表現されたモチーフは、でこぼこした味わい深い輪郭線をもち、触覚にも訴えかけながらわたしたちの意識に入り込んでくる。物の輪郭はしばしば途切れ行方不明となり、モチーフが不可解に混ざり合って配置され、全体がつくられる。謎かけのようなタイトルが付された作品はユーモアにくるまれる。2000年「山並ハイウェー」(児玉画廊、大阪)にて個展デビュー。その後、水戸芸術館(茨城)、ワタリウム美術館(東京)、ボーダレス・アートギャラリーNO-MA(滋賀)、国立国際美術館(大阪)など個展、グループ展に多数参加。2009年は「伊藤存 四月パカ」展(タカ・イシイギャラリー)、シドニー現代美術館(シドニー)での二人展、東京都庭園美術館(東京)のグループ展に出展するなど活躍の場をさらに広げている。